緊急レポート「労基法改正案の、2026年通常国会提出見送り 事象の全体像と今後」

労働基準法改正案が2026年通常国会への提出を見送られたとの報道が、12月23日から行われています。
起こっている事象を整理すると「議論が一段深いレイヤーに移行し、制度の立案実施や変革のスピードが増した」ということであると明らかに整理されます。12月24日時点に判明している事実と、当然に予測される事実をまとめたレポートを作成しました。

https://i-usoshiki.jpnx.org/roukihou-s/wp-content/uploads/2025/12/08abfafddab3a1d7addc1cecd3cffba7.pdf

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今回の見送りは、事象全体を整理するとまったく「中止」ではなく、論点拡張を伴う再検討フェーズへの移行つまり「より強化した迅速検討の後の再提案」に移ったのだと明らかに言えると思います。

2024年から続いてきた研究会・労政審での議論に加え、2025年秋の内閣方針転換によってさらに「心身の健康と選択を前提とした柔軟化」という明確な政策意図が重ねられました。その結果、労働時間上限規制の在り方や、恐らく裁量労働制などを含む重要論点、大枠では中長期課題とされていた論点まで前倒しで再検討されることになったものと考えられます。

■特に重要だと思うのは、今回の経緯で「多様で価値が高い働き方を目指す変革」を、実質的に加速させることがさらに明確になった点です。
これは政策や法令がどうであるかという事象のみの問題ではなく、一社一社の企業と、働く個人が主体的に認識すべきことだと思います。

「価値の高い多様な働き方を実装するために法令政策をどう戦略ツールとして使うのか」ということがさらに重要になってきたものと思います。

投稿者プロフィール

松井勇策
雇用系シンクタンク (一社)iU組織研究機構 代表理事
情報経営イノベーション専門職大学 客員教授(専門:人的資本・雇用政策)
社労士・公認心理師・AIジェネラリスト/WEBフロントエンジニア。現代の「働き方」の先端的な動きや、最新の組織技術の人的資本経営等の専門家。多くの企業へのコンサルティングやセミナー等を行う。日本テレビ「スッキリ」雇用コメンテーター出演経験、著書「現代の人事の最新課題」他、寄稿多数。株式会社リクルート出身、採用/組織人事コンサルティング、のち東証一部上場時の事業部の内部統制監査責任者を歴任。